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このブログは法律違反なのか(2) [雑談]

先日のブログに記した通り、気象観測には、法的に幅広い規制がかかっています。 その趣旨は十分、理解できるのですが、一つ気がかりなことがあります。 

この夏休みに、多くの小、中学生(高校生でもいいのですが)が、色々な 日記をつけていると思います。植物や動物の栽培、育成記録をつけているところもあるかもしれません。それをブログやホームページに掲載しているケースもあるでしょう。 

 その日記の中に、自分で観測した日々の「気温」や「天気」を載せていたとしたら・・・。 

すでに述べた通り、気象業務法は、 

「気圧、気温、蒸気圧、露点温度、相対湿度、風向、風速、風力、降水量、積雪深、雲、視程、日照時間、日射量、天気」を対象に

「個人で気象観測を行った観測値を自分のホームページで公開する場合には、届出が必要」と定めています。

さらに、

「その場合には技術上の基準に従った観測を行い、検定に合格した気象測器を使用する」必要があるのです。

加えて恐ろしいことに、

「検定に合格した気象測器を用いた観測を行わなかった者、届出観測施設の気象測器を壊した者に対する罰則規定」が定められており、

検査に合格した気象測器を用いた観測を行わなかった個人に対しては、「50万円以下の罰金が処せられる」ことになっています。

私は気象業務法はもとより、一般の法規についての専門家でもありません。しかし、常識的に考えて、小中学生が気温や天候を独自に観測して記録に取り、それをブログやホームページで紹介することに何らの違法性はないし、教育的見地からむしろ推奨されると確信しています。

けれども、私がそうであったように、気象庁のホームページをたまたま発見してしまった場合、多くの人は、法に触れているのではないかと懸念すると思います。まじめな人ほど悩むでしょう。そして、親が自粛させたりしたら、子供たちの心は傷つくでしょう。

最近はモンスターペアレンツなどといわれる人が増えていて、ちょっとしたどうでもいいこと、本来自分の家庭で判断すべきことを学校側に指摘する可能性もあります。その結果、学校側が過剰な自己防衛に走り、児童・生徒にブログ掲載などをやめさせてしまうことも考えられます。

つまらんです。そんなことは。

ここに一通の報告書があります。2010年(つまり昨年)11月に総務省行政評価局がまとめた「気象行政評価・監視結果報告書」です。

ググレばすぐ出てくるので、ご興味があればごらんになってください。

それによると、

① 平成21年8月1日現在、調査した72事業所( 国14、地方公共団体55、民間3)の観測施設3,864か所のうち3,190か所(82.6%)が届出済みである一方、32事業所の673か所(17.4%)が無届けとなっている。

② 調査した15官署(札幌管区気象台、釧路地方気象台、仙台管区気象台、盛岡地方気象台、東京管区気象台、宇都宮地方気象台、横浜地方気象台、名古屋地方気象台、岐阜地方気象台、広島地方気象台、松江地方気象台、高松地方気象台、徳島地方気象台、沖縄気象台及び石垣島地方気象台)のうち、8官署は、平成19年度以降、無届けの観測施設を把握していない。

③観測施設の設置の届出を行っていない32事業所を調査したところ、設置している観測施設のすべてが無届けであった6事業所のうち4事業所は、官署から届出の必要性について周知又は指導等を受けたことはないとしている。

ことが報告されています。

これらを踏まえて報告書は、

「気象庁は、昭和27年の同法制定以来、制度自体の必要性や在り方を含めた見直し及びその検討を行っていない。現在では、地域主権や規制緩和の視点での行政の不断の見直しが重要となっており、昭和27年当時の時代背景との違いも踏まえた届出制度の在り方の再検討が求められる」と総括しています。

さらに、観測施設で使用する気象測器の受検状況等について報告書は、

82事業所(国17、地方公共団体62、民間事業者3)を調査した結果、平成21年8月1日現在、検定の対象となる気象測器が5,752台設置されており、これらのうち、

①検定を受けていないもの80台(1.4%)、②受検状況が不明なもの597台(10.4%)がみられた。また、検定を受けている気象測器5,075台(88.2%)についても、検定の有効期間を経過したものを使用している状況がみられた(770台(5,075台に対する割合18.1%))。

と指摘しています。 

つまり、公的な機関でさえ、気象業務法を守っていない例が結構あるのです。 

私には、指摘されている機関が本当になすべきことをなしていないのか、それとも報告書にあるように、法律が時代の変化に追いついていないため、運用段階で骨抜きになっているのか、よくわかりません。

 「もっと厳格に法を守るべき」というつもりもなければ、「実体にあわせて法改正をすべき」と主張するつもりもありません。

 しかし、実態がこうである以上、気象庁のホームページにはもう少し、はにかんで欲しいという気がします。 

せめて、ホームページの目立つところに、児童・生徒に向けて、「君たちのブログにその日の天気や気温を記す分には、心配いらないよ」というメッセージをつけ加えられないものでしょうか。それが私の提案です。 

ちなみに、気象業務法によると、政府機関または地方公共団体が気象観測を行う場合には、届出の対象から「研究や教育のための観測を除く」ことになっています。公立の学校が課外活動として栽培日記などをホームページに出す場合にはOKということだと思います。 

私立についてはどうなんでしょうか、知りたいところですね。

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